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密猟界

第9章 死海のほとり

 野性の匂う貌に、笑みを浮かべて、その一対を見守る青年の踝に、輝くさざ波が打ち寄せる。
 泣くだけ泣いて、落ち着いたのか、背中を時折、震わす。
 抱きしめている青年…それを見守る青年…二人の貌に微笑み…。
 ─野育ちな感じの青年の顔は、懐かしさも感じられる。
 頭上から、乾いた音が降ってきた。翼の大きな鳥が十字の形で飛びすさってゆく。




















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