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密猟界

第10章 最終出口 

 ─眩しくて、目を開けていられない…朝の雲が切れて、太陽が光をおくってきた。
 フワッと宙に浮いた。下からチャンミンが呼ぶ…黒煙、血けむり─鱗の欠片─下に落ちて、灰の粉になり、朝の風に舞うのが見えた。



 (ユノ)体が揺れる…(ユ…ノ)目を開くと、「ユノ。起きて─」黒いふたつの眼…と、見つめ合った。「帰りましょう、ユノ。外に出られました」
 チャンミンの手をかりて、立ち上がる。リュックから出したデニムのシャツを、ユノに着せかける。「あぁ─。有難う」顔を擦り、髪を振り払う。「喉…渇いたな」「僕、お腹すきました」朝露に濡れたペイブメント。向かい風が快い。
 「ホテルに戻りましょう。ユノ…休んで、食事しましょう」
「そう─しよう」リュックを背負おうとして、「これ…どこにあった」「あっちの歩道に、転がってました。スマホも動きます─雨宿りから、4日経った」「ふぅ…ん?」脇ポケットから、赤いキャップを出して被った。 「長い時間、眠ってた気がする」「お互い、悪い夢を見過ぎましたね」 ─教会を顧みようと、した。「タクシー、来ました」小さな箱馬車(クーペ)スタイルの、黒い車が脇に止まった。

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