
密猟界
第5章 インターリュード
「チャンミンのところへ帰らなくちゃ─」俺は舗道の端に立っていた。歩き出した…風が頬に冷たいのが気持ち良い…きっと、俺は酔ってるんだ…どうして呑んだんだろう? 俺は呑めないのに。チャンミンみたいにワインを…ビールも、──ほら、やっぱり俺は酔ってる。こんな場所に電話がある…、…公衆電話…? 「あの、酔っぱらいですけど…チャンミンいますか」……電話のアームを叩きつける。鼻歌を歌いはじめた俺に…「どうしたの。男の子がひとりで遅くに─危ないわ」女の声がすぐそばで聞こえた。俺は黙って、紅い車に寄りかかった。真っ赤なドアが開き、……知らない女のひとの車に乗っちゃいけませんよ……そんな声が耳元でした──。「どこにいくの?」「チャンミンのところ」「チャンミン? なにそれ─」車が動き出す。「チャンミンは、俺の家…」「家?」頷くと「帰巣本能が強いわね…男だから」「関係ないよ。そんなの─」「そうかしら」車はスピードをあげ、女のロングヘアーが俺の体にかかった。「飲んだの?」「少しね」顔を指先で擦る俺を女が笑った。「なんだよ」「飲めないくせに」「…うるさいな」女はまた笑い、車もスピードをあげた。
