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密猟界

第7章 美しき獣たち

 ─泣く声? 耳をすますと、嗚咽のようで(チャンミン)ドアを細く開けると長身の、灰のジャケットの背が震えるのが、見えた。
 (チャンミン)ユノが入ろうとすると、クク…と、噛み殺したような笑い声。(チャンミン─) それが朗らかな、朗らか過ぎる笑い声に変わり、…やがて悪魔の哄笑を思わす、狂ったような嘲り笑いとなり…(チャン─ミン)ユノはドアの前で立ち竦んだ。
 裸足の足もと…廊下の絨毯のワイン色を濃くして、ユノの影が映る。長い長い廊下の彼方から、かなり大きな影がゆらゆらと近づく─。チャンミンの笑う声は止むことなく、さらに辺りに響き渡った…。
 …ふっと、ユノは何物かの気配を感じ、振り返る…が、廊下の暗がりにも目を凝らしたが、何も─いきなり、ユノの逞しい身体が、宙に浮く。首根っこを締め上げられて、歯を食い縛り、暴れるユノの耳に、チャンミンの狂人のような笑い声がなおも、聞こえてくる。


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