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密猟界

第7章 美しき獣たち

生臭い息がユノの顔に、かかり─(チャンミン)蹴ろうとした脚も空を切る。両足を黒く太い、固い横長な棒のようなものの上で踏ん張った。(チャンミン)足の裏にごりごりした感触がある。…下から籠った鳴き声が始まり、それは、どんどん大きくなり、止まないサイレンに似た音を響かせた。
 (あ─?!)それは、黒い横長いツノを持つ水牛。二本足で、立っていた。いきなりユノを殴ろうと、黒い瘤のような太い腕を、振り回す。ユノは首を掴まれたまま、脚を蹴り出した。
 ブォッと鼻息を吹き、水牛は鈍い動きで後ずさりするが、手を緩めようとしない。ごつごつした腕にユノは、手刀を叩き込む。岩磐を叩く感触だった。両手で岩磐のような腕を締めつけ掴み、満身の力を籠める。不意に水牛の体が前に折れた。ユノを離し、低く唸る。 「ユノ」廻し蹴りを、チャンミンが背後から食らわせたらしい。怒りの熱い息を吐いて、水牛がチャンミンに向かっていった。ユノの足拳が舞った。

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