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Best name ~ 追憶 ~

第3章 私の大切な人

『つかまえた』





ギュウウゥ・・・っ。




血の流れが止まるほど
強く腕を捕まれる。




私と引き換えに
掴み挙げられていたモコの体が
解放された。



よかった・・・。

それだけは・・・本当によかった。




モコ・・・逃げて。

早く逃げて。




マロン・・・ルナ



みんな逃げて。



私の大切な〃子どもたち〃・・・



3匹そろって・・・なんとか


ううん


絶対に、無事におうちに帰ってね・・・。


きっと大丈夫・・・。


あの子たちは・・・賢い。


車の前に飛び出したりしない。


いつものお散歩コース・・・。


大丈夫・・・。



お願い・・・無事に・・・。









モコがマロンとルナに合流したのを
横目で見届けて



次に私の意識は
激しい痛みを発する私の腕に集中した。




『久しぶりだね……アイル』







ゾワ・・・っ。


間違いない・・・。




無いものにした記憶・・・




忘れてるはずの・・・声



なのに私・・・













覚えてる・・・






ハッキリと・・・覚えてる。






間違えじゃ・・・ないんだ。








これは


あの男・・・



あの・・・・・悪魔だ。




息が・・・止まりそう。





『フフっ…神様は…みてるってやつかな?
運命だな。
神様は…ちゃーんと…
こうして巡り会わせてくれるんだな?クククっ』





心臓が止まりそう。








なぜ?


何が・・・どうなっているの?








世の中に数多くの
偶然だとか運命・・・

そんなものに巡り逢うけれど

これほどに残酷でイタズラな運命・・・



こんな非情なものを
私は知らない。






そんな〃運命〃だなんて・・・

冗談じゃない。










これは夢・・・




きっと夢だよ・・・



私・・・
悪い夢をみているんだ




きっとそう




早く覚めて・・・。





ねぇ・・・夢だって





誰か・・・私を起こして・・・





夢だって





言ってよ・・・っ


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