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Best name ~ 追憶 ~

第3章 私の大切な人

意識を失った私は・・・




気付くと、たった一人

何もない

真っ白な道を

ひたすら歩き続けていた。












どこ・・・?ここ・・・





あぁ・・・


さっきのこわいことは


全部夢だったの?




良かった



身体が軽やか



痛くないし

苦しくない

あれは夢だったんだ


良かった・・・







ホッとしたのは束の間





終わりのない

何もない道・・・

出口のない一本道







ここは・・・・・?








あぁ・・・私・・・


死んじゃったんだ








本当に・・・死んだんだ







『アイル~~』






・・・誰かが私を呼んだ



振り向くけど
誰もいない



どこか遠くから響く声・・・





『アイル~~っ…』





また・・・






その声は何度も私を呼んだ。






誰だろう・・・





わからない





だけど何故か

心地よくて




ずっと探していた声・・・


そんな気がする。






私は真っ白な道を


行ったり来たりした。




声の主を探して・・・



走って走って・・・走った





だけど誰にも



その声の主にも会えなかった。





あ・・・私・・・


死んじゃったんだっけ・・・









ははは・・・だけど




いっか・・・




痛くないし




身体もダルくない




苦しくない





こわくない











だけど・・・




私を呼んだ声の主




あれは





きっと




私がさがしてた




帰りたかった場所・・・





そんな気がして涙があふれた。






逢いたい・・・





帰りたい






でも・・・





もう遅いんだね




この道を


このまま進むしかないんだ。







私の人生


一体なんだったんだろう


何のための人生だったのだろう。




わからないまま・・・逝く





だけど・・・あの声のする場所に



もう一度、帰りたい




あの声の主に

なんだかとても逢いたい




逢いたい




私・・・


本当は死にたくなかった


生きたかった




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