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『あの・・・私・・・どうして？』


声を出すことができた。

診察に立ち合っていた
刑事と名乗る女の人に、それとなく聞いた。


「～あなたの彼氏…？あの…
背の高い彼…」


『ぇ・・・』





リョウキが・・・？







聞くところによると


彼は戻らない私を捜して
あの車の中で見つけ

なんと

硬い車の窓ガラスを割って
中に押し入り

私を助けてくれたくれたのだと言う。





その救助とソウタさんの通報で
私はここに…
病院に運ばれたのだそうだ。



薄れ行く意識の中で聞こえた気がした
何かの大きな音は…

もしかしたらそれだったのかもしれない。



「暴力行為は……厳重注意だけどね…～」





ほとんどぼんやりして
話せなかった私は
それらの話をただただ聞いていた。




暴力行為？・・・





さらに彼は…


リョウキは・・・

怒りに満ちて

自らの手で…悪魔を

あの男に・・・制裁を・・・




などと言うことを
さりげなく耳にした。

同時に
あの男が警察に逮捕された・・・
ということも。



でも・・・


リョウキが？・・・








ソウタさんでも
止めるのがようやくというほど
怒り狂って・・・なんて。


そんなリョウキを

私は間違いなく知らない。



・・・・・リョウキ


私なんかのために・・・。






『彼…ケガは…』


反射的に、それだけは聞こうと
声をあげた。


「無傷・・・ではないと思うけど
大丈夫よ、きっと」




危険も省みず

手に大怪我を負って

私を助けてくれたリョウキ・・・。





そんな人を・・・



そんな人の前で私は・・・。