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Best name ~ 追憶 ~

第1章 私の記憶

『…せ…いご?…』

初めての出来事に
私は軽いパニックを起こす

仰向けのまま、ずっとキスされる。




『……せいくん…まって…』

『…べつにオカシイ事じゃない。
フツーの事だろう?』




『う……ん。でも』

『クス…。
アイルの友達だって、彼氏いるコは
別にフツーにしてることじゃない?
アイルは彼女なんだから。…いいだろ?』



『うん…でも……でも…』

『…どうしてイヤなの?』



『イヤ……じゃなくて……私…』

『〃初め〃は緊張するのは当たり前だよ。
大丈夫…』





そうだけど…そうじゃなくって…私は……。




『ごめん…。私…まだ…そういうの…』




まだ…そういうのは

あらゆる意味で
私にとってはこわかったんだ。


私は制服のボタンを外す彼の手を止めていた。



『………あ、そう』


私から手をはなし、背を向ける彼


気まずかった。


何か言わなくちゃ…何て言おう。


『ごめん…本当に、キライとかじゃないの。
私……ごめん』

『~わかってるよ。無理言ってごめんな』


振り向いた彼は、いつもと同じ笑顔だった。


『~~…夕飯作るから…私そろそろ帰るね』

『あぁ……』


私は、この頃から思っていたんだ。


『………チッ』

『……?』

〃今の…。気のせい…かなぁ?〃


私は……この頃から、気づいていたんだ。



『セイゴ……?』

『うん?…なに?』



『ううん…なんでもない』


振り向いた彼がいつもように笑っていても

私は…気付いて不安に思っていたんだ。


彼に、嫌な思いをさせたり
怒らせてるんじゃないか……って。

私が思うよりずっと…
相手を傷付けているんじゃないのか……って。


そしてもうひとつ…


私も、人並みに恋愛とか
彼氏つくるとか…憧れていたけれど

自分が、そう器用に立ち回れないことに
気づいていたんだ。

初めての大学受験…
初めての恋愛…



プレッシャー…ではないけれど


緊張やドキドキ……

どうしたらいいかわからないキモチ、


たくさんのドキドキに
いっぱいいっぱいになっていた。


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