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Best name ~ 追憶 ~

第3章 私の大切な人

私は気付くと彼の腕に・・・

リョウキの腕にガッチリと
掴まえられていた。


息を切らしながらも
いつものような口調で
私に話しかける彼…。








どうして?・・・ここにいるの?









深い水の中・・・




ヘタをすれば

彼も命を落としてしまうかもしれない。





やめて・・・



はなして・・・



あなたまで死んでしまう・・・。












『アイル・・・帰ろうな?』







誰にも言わなかった・・・

言えなかった気持ち・・・



悲しみや絶望を
彼にぶちまけて・・・

大声で泣き叫んでしまった私に
彼は…そっと微笑みかけて

力強いその腕で私を抱き上げて
連れて帰ってくれた。


・・・〃生きる場所〃へ、と。






真っ暗闇に・・・地獄の底に

自ら堕ちようとした私を

引き戻した手・・・。



力強い腕・・・。





その手はずっと・・・

暗闇で私が探していた

あの手だった。




二度も私を救ってくれた人・・・。








昔と……ちがうことがあった。


ちゃんと、あった。




本当に助けてほしいときに……


救いは〃現れる〃ということ……。





命懸けで・・・

助けてくれる人がいたこと・・・。




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