Best name ~ 追憶 ~
第3章 私の大切な人
『痛い・・・っ』
覚悟していても痛い・・・
痛かった。
気絶してしまいそうなくらい・・・
初めて経験する痛み。
私が声をあげるたび彼は中断する。
手を止め、動きを止めては
私に楽な体勢をとらせて
休ませてくれたり。
乱暴になどもちろんしないし
一切の強要をしない・・・。
今となって思えばだけど
もし立場が逆だったら・・・
神経がすり減る気の遣い様ではないかな
・・・なんて
思う・・・。
そんなことはどこ吹く風・・・
だったであろう当時の私は
とにかく
どうしていいかわからないのと
やっぱりはずかしいのとで
ひたすら両手で
顔や体を隠していた・・・気がする。
・・・ホントのとこを言えば
緊張しすぎて
そのへんの記憶は・・・曖昧。
『無理をするな』
『ガマンするな』
と彼は再三言ってくれていたけど
私は・・・最後まで
のつもりだったから。
拒否するつもりももちろん
声をあげるつもりなど
もちろんなかったけど・・・・・
そう思うようには行かないようだ。
気持ちだけでは
どうにもならないことも・・・ある
ということかな。
『・・・ぃたい・・・っ』
『ん・・・ごめんな』
『~~~っ・・・』
もしも〃「やめて」〃と言ったら
きっと彼はやめてくれる・・・。
だけど・・・
その選択肢は
私にはない。