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Best name ~ 追憶 ~

第1章 私の記憶

どうして…?

この人たちは笑っているのだろう…


私…こわくて、痛くて苦しいのに…

恐ろしくて、おぞましくて
心臓が止まってしまいそうなのに…


一体なぜ…私の何が…

この人たちは…何がそんなに
おかしくて…楽しいのだろう…


苦しむ人を…悲しむ人を見て
どうして笑っているのだろう…?


恐怖一色の脳の片隅で
目に映る彼らの姿に、私はぼんやりと
そんなことをかすかに
どこかで思っていた気がする


なんでなのかなぁ?…というように


そのキモチの全くわからない私は
先生に質問する時のようなキモチで
ただ純粋に……ぼんやりとそう感じていた。


確かなのはただひとつ


絶望に満ちていた、ということ



そして、私の体からは全身の力が抜けていた
抵抗していた腕もダラリと下がって

代わりに涙が……止めどなく
次々に、静かにあふれていた。

『うっ……ぅぅっ…うっ』


勝手に出てくる涙を塞き止めるかのように
嗚咽がもれていた







『~カワイイ…。ホントのネコみたいだナ…』

「そそりすぎ…このオンナ~早くハメさせろよ」

かまうことなく上下左右から伸びてくる手が
私の体をもてあそんでいた。

べたべたと触れる手に…舌…



キモチワルイ……

キモチワルイ…。



力の入らない体…とめられない涙…

やまない笑い声…不気味な荒い息づかい


じっとりとした重い空気がまとわりつくようで
息をするのも苦しい。

逃がしてはくれない。
逃げようとしたら
また暴力を振るわれるかもしれない


逃れる術を探すのも
体力も……そろそろ限界…

そんな私にセイゴがクギを刺す。


『~そうだよアイル…
そうやって、じっとしていろ。

じっとしてれば、すぐに済むからね…。
ちょっとチクっとするだけだ…クククっ

また逃げたり…暴れたりすると本気で殴るよ?

…殴られたくなかったら、大人しくしてろ。
……痛いのヤだろう?』


『~~~…っ』


いやだ……。


痛いのはイヤだ…。


顔を叩かれたのは痛かったし
もっと酷くするなんて…聞いただけで身震いする


いやだ…。

これ以上痛いのも、恐いのもイヤだ。

私はいよいよ目を閉じようとした。

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