テキストサイズ

Best name ~ 追憶 ~

第6章 家族に・・・紹介します

ほぼほぼ天然かまして
オレの家族の事を語ってたアイルが

突如・・・さりげなく
放った一言に

オレは一瞬、固まった






『・・・。はは・・・どした?急に』





なんとか沈黙を堪えたオレに
アイルがハッとして慌てた





『あ…、…えっと…その・・・
へんな意味じゃなくて…ぅんと

ぃゃ…もう変だよね?!
ごめんなさい、いきなり

初めて会って、失礼な事を・・・
~~ぅんと、何て言ったら良いかな』





『・・・』




オレが黙ってしまいそうだったのは

失礼だの失言だのって

そんな事を思ったからじゃない







オレの…母親は


ぶっちゃけてしまえば


文字通りの苦労人だ







アイルの問いのままの

〃苦労したひと〃に

違いはないと思う






生まれ育った環境は
中々に複雑で

貧しい生活に
人並みに親の愛情もなにも
受けられずに育った

中学出て
高校行きながら働いて

親父と出逢って
結婚したは良いが

そんな苦しい生まれ故郷…
親の呪縛から逃れられたかと思いきや

嫁いだ先では、その生い立ちや…
貧しい実家や親のことをたてに

義理の母親…つまりはオレの祖母から
散々になじられ、いじめられて



・・・なんて



そんな半生。





自分の母親の事にしては浅いって?


そりゃそうなんだ


オレは


オレら兄弟は



そんな母親の生い立ちなんて
ほとんど知らない




それは・・・母親が


そんな姿を


オレら兄弟に見せなかったから




親父とは仲は良かったけど

姑にどれだけイビられても

帰る実家もない

助けてくれる親もいない






オレら兄弟を育て上げるまで

義両親を看取るまで

歯をくいしばって堪えた…

そんな母親の半生






なんてのは



オレ自身

…じぃさんも、ばぁさんも他界して



実家も建てかえて、と

そこそこデカくなってから



なんとなく・・・知った

それくらいの認識なんだ





息子のオレら兄弟も

それくらいの認識



今現在の…正に今日、会って来た

能天気そうな

やかましくて、所々ぶっ飛んでる




あの母親を見たって

誰も想像し得ないこと





ましてや…初対面のアイルには

ストーリーメニュー

TOPTOPへ