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Best name ~ 追憶 ~

第7章 ホントのキモチ・・・

リョウキのお母さんの言葉に圧倒…と言うか
しばらくぼんやりしてしまった私は

最後にお店を出たリョウキのお父さんが
目にとまり…お父さんの元へ引き返していた





『ん?アイルちゃん・・・忘れ物かい?』




『ぃ…いいえ
おじさま…ごちそうさまでした
いつも、すみません』





『?いや…良いんだよそんな
あ~…お母さん達は…車か?

リョウキも…女の子を置いて行くとは
まったく・・・ブツブツ

ほらほら…明日は仕事じゃないのかい?
さぁ帰ろう・・・』




『・・・はい』



そう言って車へと促すお父さんと
並んで駐車場まで歩く













『いつも・・・ありがとうね』










『え・・・?』






私は、またしても
少し・・・驚いてしまう




『おじさま…あの・・・?』







『あ…~すまないね
忙しいだろうに・・・その

家内が…いつも
無理を言ってるんじゃないのか

…と思ってね』





『???』


クセの咳払いは…せずに
視線をキョロキョロと
あちらこちらにむけながら
話すリョウキのお父さん…





『あれは…もう
む…娘が出来た気分になって
すっかり…舞い上がって

その…~振り回されて
困っていないかな・・・とね』





『・・・。おじさま…

ふふっ…リョウキさんにも
同じ事言われましたけど
そんな事ありませんよ

私の方がいつも
おばさまにすっかり甘えちゃって
すみません

私が、おばさまを占領しちゃって
おじさま…お休みの日に
寂しい思いされてないかしら?』








『ふ・・・ははははっ…』



物静かで…あまり口数も
表情を崩すことも少ない

そんな印象のあった
リョウキのお父さんが

顔をくしゃっとさせて
笑っていた

笑った顔…目尻が下がる表情が
リョウキにそっくりだった




『~いやいや…失礼

あれは…本当に
わかりやすいやつだからね

男兄弟を育てたせいもあってか
ガサツ…と言うか

口の悪い所もあるがね
あれで本当に喜んでいるんだよ…ふふ』






『おじさま…私』








『どうもありがとう』









言葉の返せない私の手に

ぽん…と
お父さんがのせてくれたのは

お店のレジの脇に売っていた
おみやげのお菓子

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