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Best name ~ 追憶 ~

第7章 ホントのキモチ・・・

『・・・なんだ』






『ぇ…』





リョウキの声に

私は顔を上げた




その声のトーンが

どこか明るかったから…








『話って・・・〃そんなこと〃かよ』






『・・・』








見上げた…そこには








『何事かと・・・思ったぜ?(笑)』






いつもの…くしゃっと笑う顔で

目尻を下げて


さっきの

お父さんとソックリと思った表情


目尻に笑い皺をつくった

いつものリョウキがいた







ぽん・・・ぽん






笑って流すように



私の大好きな、その大きな手を


私の頭にのせて


いつものように…撫でてくれる






『りょぉき・・・私』






『うん?・・・それが何だよ?』







『おじさま達は知らない…んだよねぇ』







彼の表情と・・・体温で
涙腺が緩みそうになってしまう







『知らないよ…

知る必要もないと俺は思う』








『だけど・・・私…私…』








『クス・・・アイル?』







『私・・・』










『アイルは…なんにも

心配しなくていい』








『りょぉ…』









『それが・・・オレからの答え』









『りょぉき・・・っ』









泣くつもりなんて…なかったの




こんな話をして…彼を
困らせるだけだと言うことも

彼に要らぬ気遣いを
させてしまうということも

私には
わかっていたはずなのに・・・




〃いつも通りの彼〃が…
その優しさが

私の強張った肩から
力をスーっと抜いてくれるようでした




ソウタさんの言うように


この人を見れば…その両親が浮かぶ



その言葉に…ピタリとはまるような

リョウキの素敵な家族



そして…その大好きな彼を前に

私はやはり泣いてしまいました




肩の荷が・・・少し降りたかのような

そんな感覚になって



涙が勝手に落ちてしまうのでした


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