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Best name ~ 追憶 ~

第8章 過去・・・未来・・・そして今

ブルル……ブルル…



『おっと…申し訳ない
オレ・・・そろそろ』




テーブルの上のリョウキのスマホが震えて
リョウキは席を立つ




きっと…先輩か誰かに呼ばれてる





『あ、突然無理言って
すんませんでした…じゃ俺も』



『リョウキ、私…も』



少しぼんやりしてた私は
千葉くんにつられるように立つ






『あ・・・いいから、いいから』



席を立つ寸前…中腰の千葉くんと私を
リョウキが遮るように
大きな手をかざして止める






『や・・・でも』



『ふふっ・・・いいって
せっかく再会したんだから
同窓会だと思って(笑)ゆっくりしてって?』




『リョウキ・・・』





『アイル、中々ない機会だろ?
まぁゆっくりしてな

~じゃ…えーと・・・千葉くん?
悪いけど…お先』





そう言うとリョウキは
去り際にテーブルの伝票をサラっと持って
早足で席をはなれた





『リョウキ…』



〃この状況で・・・

置いていかないでよぉ、リョウキ・・・〃






ありとあらゆる意味で
私は咄嗟にそう思う







『あ!…ちょ!…滝川さんっ?!』








『・・・~~♪(笑)…

…~~もしもし、お疲れ様です
申し訳ないです、すぐ戻ります

はい・・・~はい、了解です
~あ、それならマツオカさんに…

はい・・・~はい…□□△△?
あ、でしたら自分が対応します…
はい…すぐ戻ります』





〃『気にするな』〃~…と言うように


咄嗟の事に焦って呼び止めた千葉くんに
リョウキは背を向けたまま軽く手を振って

電話に出ながら
あっという間にお店を出ていった






置いていかないで・・・リョウキ





なんて…

仕事中の彼に無理言っておいて

そんなことは言ってられない






ガタ…ン・・・






再びシーンとするテーブル






千葉くんと少しの時間差で
ゆっくりと席につく







『かぁ~~♪なにあの神対応?!(笑)
カッコイ~~なお前のカレシ?』





『・・・』



無音の時間は、わずか数秒で
千葉くんは軽快に喋り出した

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