Best name ~ 追憶 ~
第8章 過去・・・未来・・・そして今
好きかキライかと聞かれて好きと答える
恋人同士なら
恥ずかしいと頬に熱を集めながらも
正直に答えるその気持ち
仲間や友人同士なら
時には照れくさいとか
時にはふざけ合いながら
それでもやっぱり
正直に答えるその気持ち
もしもお酒でも飲んでいたのなら・・・
笑って流せたその言葉・・・
私が……答える事も
笑って流すことも…出来なかったのは
『・・・冗談は・・・やめて?』
・・・。
『俺がいつでも…いつまでもガキみたいに
フザケたり…チャラけて
こんな事言ってるとか思ってんのか?』
私の記憶に残る…
いつも元気で…ムードメーカーな
クラスの人気者で
ちょっと不真面目で…
実は正義感が強くて
仲間思いで
みんなに優しい
私の記憶に残る
そんな…千葉 勇気くんが
その人柄も…変わってない
そう思える千葉くんが
一切…笑いもせずに
真っ直ぐに…力強く見つめる
初めて
そんな目で
私を見てたから
『~~っ……』
息が詰まるような感覚に言葉がでなくて
ひたすら首を横に振って否定した
『俺・・・片瀬が好きだった』
『~~~~~っ…』
『高校の時から・・・』
『千葉く……』
『今も・・・』
千葉くんは・・・ふざけてなんかない
私をからかってるのでもない
・・・だけど
『千葉くん・・・私は…
私・・・には』
『・・・わかってんだよ』
『・・・。・・・じゃぁ、どうして』
『っわかってんだよっ、そんなことっ!!
うるせぇなっ!!!』
ビクッ…
怒鳴るような声と
肩や手首にかかる力に
体が震える
『昔も・・・今回も
お前には彼氏(あいて)がいた
だから・・・言えなかった』
『・・・』
『昔も、今も言ったらいけない…
言ってもしょうがねぇ事って、わかってた
だけど俺・・・っ』
『・・・』
『もう…会えないと思ってた
だからこの間…偶然、片瀬に会った時
これは・・・〃運命だ〃…って思った』