無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

水をどれだけ浴びせても

グロスのついた唇や頬は
水を弾いてしまって

私はクレンジングを手に取って
そのままお風呂場に飛び込む







バシャーーー・・・バシャバシャバシャっ







熱めのシャワーを目一杯浴びて

お化粧も・・・涙も

ひたすら洗い流す









『・・・ﾌｩ』






お風呂を出た私は

脱いだ洋服を手に

すぐに自分の部屋に閉じこもった








弾みとは言え…
左肩が無惨に破れた服





これは…出かけた時に
一緒に選んで

リョウキのお母さんが買ってくれた
私のお気に入りのワンピースだった





『・・・』



お洋服が…かわいそう






私はベットの上にワンピースを広げて

すぐに裁縫セットを取り出した






お気に入りだから…直したい




それから




さっきの出来事を・・・忘れたい






苛立つくらい、いつまでも

まだ少し震える手で…針に糸を通した








『っっ・・・痛っ・・・』





私の手元は簡単に狂って

反対の手の指を…針が突き刺した






『・・・』




針が刺さった指に

ぷっくりと…まるく…血が浮き出てくる








ｶﾞﾁｬﾝ……




私はやりかけた裁縫をベットに投げて


その場に突っ伏した





『うっ…うっ・・・うっ…うっ』







〃リョウキ・・・〃




遅くなるとは聞いていた



中々帰ってこないリョウキ






そばにいて・・・リョウキ




だけど・・・こんな姿を見られたくない






胸中は…複雑だった