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Best name ~ 追憶 ~

第8章 過去・・・未来・・・そして今


布団に潜っていた私は
顔が露出したことに焦っていた



だけど…決して目は開けない



リョウキの顔を見たら
泣いてしまいそうだったから




それに・・・寝たフリだなんて

バレたら

それだけで気まずいもの





『zzz・・・~』








『・・・。・・・チュ』





今度こそ部屋を後にする
そう思っていたリョウキが

寝ている(ことになっている)私の
オデコにキスをした







『・・・っ』





ビクンっ・・・





思わぬ感触に

つい・・・私の肩が動いた






『・・・?』


『・・・。zzz』




私は・・・死んだように
動かないよう、努めた






『・・・クス』




リョウキが…笑った気がした




そして・・・









ポンポン・・・




私の頭を軽く撫でて








『チュ・・・』






唇に…あったかい感触






『・・・っ』



肩が震えないよう

体が反応しないよう

必死に硬直させた






『クス・・・・・・オヤスミ』




小声で呟いて

リョウキがはなれようとする






死んでも目を開けない…開けられない


そう思った





うしろめたくて…うしろめたくて




涙が出てしまいそうで







だけど・・・どうしてかな





私・・・








いつもの・・・ぬくもり


あったかくて、やわらかい


やさしい・・・感触






目を閉じてても

〃その人〃だとわかる

やわらかいキスに





私・・・安心したように

脱力してた








『っ・・・~~っ』



〃ヤバイ・・・涙・・・声でちゃう〃









ギュ・・・






私は・・・目を閉じたまま


その人がはなれてしまう、その前に


涙を見られてしまうことのないように


手探りで両腕を伸ばして


リョウキに抱きついて顔を隠していた








目を閉じた…暗闇で

目の前にいるのは

間違いなく・・・その人だ、と




わかっていたから




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