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Best name ~ 追憶 ~

第9章 本当の姿・・・

『アイル…ほら、立って』



『りょおき・・・まってよ』



アイルはうつむいたまま
オレの手をほどこうとする






『いいから…帰って話そう』






『待ってよ…!・・・リョウキ

お願いだから…家族を捨てるなんて
そんなこと言わないで

そんな…おじさまやおばさまに
親不孝な…家族不孝な事は…やめて』





『アイル…!』




『私のために、そんなこと言うのは

やめて・・・お願いだから』





アイルの声に…オレはついに

アイルにも・・・その本音が爆発する






『アイル…お前もお前で…何なんだよ?!』



『・・・』







『〃その話〃なら…前々から…!

何度も…話して、言ってきただろ?!』





『・・・・・・ごめんなさい』






『何度言われても、オレの答えは一緒だって
そう言っただろう!?

それを…今頃になって…
過ぎたことを今更・・・

そんなこと話したからって何になるんだ?!
言ってみろよアイルっ…

そんな…どーでもいいことを…っ』






半ば・・・いや、結構

アイルを怒鳴ってしまった・・・





だけど…アイルは







『・・・〃今更〃・・・〃そんなこと〃』







『・・・っ!?』







『・・・じゃなかったの

私に・・・とっては』






『アイル…』






『リョウキの気持ちも…考えないで
勝手なことして、ごめんなさい

だけど…私

〃今更〃の…〃そんなこと〃が

ずっと・・・ずっと
うしろめたくて

苦しかったの・・・っ』






アイルの溢した本音




オレが…わかった気でいて

ちっともわかってやれなかった




今思い返せば・・・と

結果論にしかならない答え



〃嬉しい〃、〃楽しい〃
そう言いながらも…泣いていたり


事あるごとに…〃『いいのかな』〃と
繰り返していたアイル

その言葉の意味を

オレは…あまりにも
その不安や孤独を浅く見すぎていた




何が…幸せだよ



何がマリッジブルーだよ…







オレは…わかっていなかった


ちっとも…わかってやれていなかった


アイルの・・・苦しみ

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