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『アイル・・・』





『ごめんなさい、りょおき・・・私

私・・・やっぱり黙ってること

出来なかった・・・』






オレは言葉を失った

瞬時に…なんて声をかければ良いか

わからなくなったんだ








『ﾌｩ・・・』



『か…母さん……？！』





黙ってしまったオレを見てか
母親が軽く息をついて

一歩…二歩
前に出てアイルの真ん前に立つ







『アイルちゃん……それは

リョウキが〃言うな〃って言ったの？

だから…あなた一人で言いに来たの？』







『いいえ・・・そういう事とは違います

リョウキさんは…私のために
私のこと…考えてくれて、いつも…

だから…話せばきっと
リョウキさんは私を止める

それこそ…何度も言わせるな、って…

リョウキさんは…本当にやさしい
私はきっと…それに甘えてしまう

それが…わかっていたから
私が…勝手にしたことです』






『・・・。・・・そう』





また一歩下がった母親を見てオレは…





『母さん・・・おい』








『リョウキ・・・ホントに

いい加減・・・黙ってて』





母親が…再び声を低くして
オレをシャットアウトした





『は・・・？！』






『アタマに血ぃ昇ったあんたが
横でごちゃごちゃ言ってると…

話が進まないって言ってるのよ
２秒で良いから…黙ってて』






『おい・・・っ、母さ…』






『こっちも…話があるのは

あんたじゃないわ…リョウキ』






『・・・！？』






不意を突かれたかのような…

そんな間合いに

母親は体の向きを変え

その目線を変えた



床に座り込んだままの…アイルの方に






『それで・・・？』






『ぇ・・・』



突然自分に戻って来た視線と声に
アイルは肩をピクリと震わせた






『何の・・・話だったかしらね』





『・・・』









『アイルちゃん・・・あなたの

話の続きは・・・』






『・・・』










『あなたは今日ここに

何をしに来たの？』