テキストサイズ

Best name ~ 追憶 ~

第9章 本当の姿・・・

アイルの言いたかったこと

その本音

それは、わかったんだけどさ






『アイル・・・っ、もうやめろ』


〃なんてことしやがる!?〃





さすがに待ったをかけて
オレはアイルに手を伸ばす





『リョウキ……』



そんなオレを止めたのは
意外過ぎる…兄貴だった



『!?・・・っ、おい』



『・・・待てって』



そう言ってオレの肩を掴むケイゴが
顎をしゃくりあげて
アイルの方を・・・差した




つられて見た先には





『フゥ・・・』



ずっと仁王立ちしてた母親が
腕組みをといて

ゆっくり……アイルの隣に
腰をおろすように並んだ









『それが・・・あなたの言いたかった事』




『・・・』



コクン・・・


アイルは下を向いたまま頷いた







『お顔・・・あげて?』




『・・・』


ポタポタ…



アイルの大粒の涙が
フローリングの床に落ちる音まで聞こえる
静まり返った空間






『顔をあげて?・・・アイルちゃん』




『っ・・・』





『あなたの気持ちは

よぉ~く・・・わかったから』




『・・・』


アイルは促されて
涙を隠しながら
ゆっくりと頭を上げた







『だけど・・・どうして?』




『っ・・・…ぇ?』






『責めてるんじゃないの
あなたのことも…リョウキのことも

だけど・・・~そうね
リョウキの言うように…じゃないけど

客観的に考えればっていうのかしら?

言ってしまえば…わざわざ
言うことなかったんじゃないのかな

それを・・・どうして?』












『・・・うまく、言えないけど』







『うん・・・』











『・・・あったかかった・・・から』







『うん・・・?』







アイルは…ポツリポツリと声を漏らして
その問いに答えた








『おじさまも…おばさまも…ケイゴさんも

いつも…私にも…あったかかった』

ストーリーメニュー

TOPTOPへ