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Best name ~ 追憶 ~

第9章 本当の姿・・・

アイルの隣に座っていた母さんは
気付くと自分も涙を滲ませながら

アイルの頬の涙を左右代わる代わる
手で拭って…微笑んでいた





『ぉ・・・おばさま・・・』





『ある種の〃困ったチャン〃なくらいにね…♪』







その言葉と表情

そして…頭をぽんぽんと撫でられながら

アイルの目は余計に涙に滲んで見えた







『リョウキ~・・・?』




アイルに微笑み、頭を撫でながら

母親がオレを呼ぶ







『な・・・に?』







『あんたにも…ひとつだけ

聞いておきたい事がある』







『な・・・なんだよ?』








『リョウキ、あんたさ

彼女に、その事を
〃言うな〃って言ったのは

なんのため?・・・誰のため?』






『は・・・?』





アイルの涙を拭いながら
オレの方は見ずに
サラッと聞いてくる母親






『彼女のため?…それとも自分のため?』







『意味・・・わかんないんだけど?』








『彼女のためって言いつつ

ホントは…心のどこかで
あんたが、その事を

やましい、とか

恥ずかしいとか

隠しておきたい・・・

そういう気持ちが
どこかにあったんじゃないの?

って聞いてるの』








『・・・バカバカしい事聞くの

やめてもらえる母さん?』








『じゃあなんで…彼女は一人で悩んだの』








『そ・・・れは・・・』



素直に言うなら

猛烈に…猛反省だ

アイルの…本当に苦しい思いを
オレは…どこか軽視していたかもしれない







『ぉ・・・おばさま、それは
リョウキには関係ないこと…

私自身の問題で・・・リョウキは
本当に私のためを思って…』





『・・・』

アイルの言葉を遮って
母さんはオレに答えを求める








『オレは…言う必要の
ないことだと思ったからだ』




『・・・』

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