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Best name ~ 追憶 ~

第1章 私の記憶

ソウタさんが私の前に立って道をふさぐ。



『~今度ぁ 家出かぁ?
オイ~…どこ行こうってんだぁ?

行くトコなんざねぇ~だろォがオマエ…

プチ家出かぁ?』





『……迷惑かけて…ヘンなコトばっか…

私…甘えてばっかだから……一人で…』





『まったくだぁな~…甘ったれた娘で
困ったモンだぁな~…』


『……』








『しまいにゃあ、ナマエがイヤだの何だのって…
娘持つってぇのは…
楽じゃねぇモンだな?…〃アイ〃?』


『……ぇ』





『アイなら、短くて呼びやすいしなァ~
俺ぁ~ラクだぜな?
ん?…どーだァ?』


ソウタさんがニカッと笑って
私の頭に手をのせた。






『石の上にも三年……』


『ぇ……?』





『踏ん張ってみろ……アイ』









『ゎ…私……ソウタさんの知らない
悪いトコ…いっぱいだよ…』


『ふふ……~みてぇだなっ?』






『迷惑ばかりかける…ダメな子だよ…
ずっと……役にも立たなくて』

『うん…』





『ずっと…結婚だってしない…。
普通の子みたいにできない
手のかかる子かもしれないよ…』



『うん…。それでもナァ…

もう一回…踏ん張ってみろ?…

必死こいて……踏ん張ってみろ?』




『……それでも、ダメだったら?
私…もう……ダメだよぉ…こんな』




『お前の人生がもし…
踏ん張っても、足掻いても
どーにもなんねぇコトがあったらなぁ…

そーだナァ~…

俺が、オマエ~…嫁にもらって
ずっと守ってやる』



『グス……なぁに……ソレ…ぇ』




『何があっても守ってやる…!
だから恐がるな!もう…恐がるな!アイ。

俺は何があっても…
お前がどんなに悪い子だとしても

俺はお前を見捨てない!
こわがるな…アイ』




情緒不安の私の言う、メチャクチャな…
バカなコトでも

ソウタさんは、ひとつひとつ向き合い
付き合ってくれた。


名前を嫌がる私…
かといって偽名を名乗る訳にもいかない。

ソウタさんは
私を〃アイ〃と呼んでくれた。

よくニックネームにもなる
違和感もない

それでいて本名とは違う名前で

周りにも浸透しやすいように。

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