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Best name ~ 追憶 ~

第1章 私の記憶

『ねね!アイ、見てコレ~』



休憩中…

一緒にお昼を食べていたマナさんが
可愛い小物入れのようなモノを見せてきた。


ピンク色の…キラキラ飾りのついたケース。


女性らしい…
華やかで、キレイなマナさんには
ピッタリの持ち物だ。



『あは……カワイイですね』

『~でしょ~~?……アゲルっ♪!』



『ぇ?…いや……そんな』

『アイに似合いそ~と思ってさ!…~ソレ
持ち歩くの大変じゃない?
小分けにしてコレに入れてみたら?』



私のバックからチラリとのぞく
病院の薬の入った大きな袋。


情緒不安の続く私は、通院や服薬が必要だった。


私を心配するソウタさんに
薬は持ち歩くように、と言いつけられていた。


いかにも〃病気〃…というような
私の持ち物……生活感。


『フフン~♪ちょっとしたコトでも楽しんだり
明るいキモチになるのも大切だよアイ~♪
~~ホラっ!』

『か…かわいい』



『でしょ~!…てか便利でしょっ?!
いいじゃんいいじゃん~♪
ピンクは女の子の特別な色だよ!
1個くらい持っとけ~~♪』


マナさんがケースに薬を移して
私に持たせてくれた。


洋服も、持ち物も…飾り気もない私が
久々に手にした女の子らしい
カワイイもの。


マナさんの言うように
明るい…楽しいキモチも芽生える。



『マナさん…ありがとう』



さりげない気遣いや
あたたかい優しさに包まれて

私は、少し…また少し…


地道に……地道に日々を重ね

〃日常〃が出来ていった。



私の……〃踏ん張り〃だった。

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