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Best name ~ 追憶 ~

第1章 私の記憶

そして…


まるでウソみたいな話だけれど



すぐにお別れだ、と…



死ぬのを待っていると言われた仔犬は…



持ち直したのだ。




まだ、ちっとも頼りない小さな体。
弱々しい細い、痩せっぽっちだったけれど…


目を開けてくれた。






『~あんのヤロォ~…業界クビだぞォ~…。
って…したら俺も、医者クビだぁな?(笑)』





ソウタさんは
友人であるそのブリーダーさんを
冗談めかして揶揄しながら

仔犬を……そして私を
不思議そうに見た。




『オマエ~…〃神の手〃かぁ?』




ソウタさんが私の手を、がしっと掴んで
表・裏…表・裏と、くるくると見る。


そして…






『よくやったなぁ…アイ!大したモンだぁ』






私を…とびきり褒めてくれた。




『べ…べつに、私は…。
あのぉ……それより、この子…』


『あ~?…返しても
売りモンにはなんねーぞォ?』




『…はい。…あの…だから…~』

『ん~?…』




『…この子 …うちで …ここに
おいちゃ… ダメですか……?』

『~~~』









『こ…この子の家賃は
私の、お給料から引いて下さい…。
おねがいします…』











『~ぬかせ、バカヤロ オマエ~…
ゴチャゴチャと~…。

~ウチの…〃スタッフ〃としてなら
おいてやる。

教育係はオマエだ~』







『っっ…ありがとう ソウタさんっ…!』













『~なんてぇんだぁ?』

『え?』









『~ナマエだよ、ナ・マ・エ』














『……マロン』










『……考えてやがったなァ💧』

『す…すみません』








『~しっかし、マロンってツラかぁ~?
コイツぁ~(笑)』






くしゃくしゃの顔の仔犬をみて
ソウタさんが笑った。











『ふふ…。〃ギャップネーム〃です…』










看板犬 1号 の誕生。




フレンチブルドッグの

〃マロン〃

との出逢いだった。

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