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Best name ~ 追憶 ~

第1章 私の記憶

マロンの時のことがキッカケだったのか

ソウタさんは
病院の物置だった所を、少し改装して
お店にすると言った。


そして、そこを私に任せると
私に新たな仕事を与えてくれた。







「ブリーダー」

私に職業名がついた。





と言っても
それ専門ではなく

シャンプーやトリミングをはじめとした
ケアがメインのお仕事だ。


コツコツと少しずつ知識をたくわえ
フードの事や、しつけの勉強をして

徐々に提供できるサービスを増やした。



私が出来る事が増えることによって
マナさんの手に余裕ができる。


病院の回転も良くなる。


敏腕なソウタさんのとった方法は大成功だった。





少しずつ…地に足が着いていくようで
私はとても嬉しかった。


学生の時に
アルバイトさえしたことのなかった私に

ソウタさんの

〃『最後の責任は俺がとる!
考えながら、お前らしくやってみろ!』〃

という…
マニュアルのない、お店作りは
とても難しいものだった。


けれど折角、任せてくれた その機会…
何よりも私にとって
やりがいにあふれていた仕事


手探りで、私なりに…一歩ずつ
一生懸命 進んだ。



仕事はもちろん
嬉しいことや楽しいことばかりではない。

辛いことや…悲しいこと
困難も訪れる。


ひとつひとつ…一歩一歩

常にそうやって進んだ。



徐々にお客様が増え、常連になってくれていた。



私に…居場所ができていく…
そんな気がした。



ありがたくて
幸せなこと…



これを大切に守ろう。




そう思って〃日常〃を過ごしていた私だった。


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