TIME is MONEY
第1章 scene Ⅰ
「いやだからさ、断れないし帰さないから」
「なんでっ!?」
「だってさ?…顔知られたって事は1人で外歩くの危ないよ?」
ー…本当に命が危険になるかもねぇ
“翔“ が平然と怖い事を言う
「じゃあなにか、…俺には断る選択肢はないって事?」
「だからそうなんだって」
どうみても面白がってるようにしか見えない “翔“ と、どこか挙動不審な “雅紀“
そうだ
こいつが俺を引っ張らなければ
車に乗せなければ
俺はこんな思いはしなくて済んだんだ
「おい、お前…」
怒りの矛先を “雅紀“ に向け、睨み付けたら
「ごめん!」
途端 “雅紀“ がパチン!と両手を合わせて
頭を下げる
「ごめんじゃねぇだろうよ!」
「大丈夫!二宮くんの命は俺が守るから」
「おいこら、変な事はないって言ってただろ!」
ー…話が変わってんじゃねえかっ
「もうさ、諦めな?…何をどうしても、君はここにいるしかないんだから」
冷静に考えれば、矛盾ばかりの話に気付かない俺がバカだったんだ
だってこの日から、俺の生活は180度変わってしまって
…しかも、命の危険なんて全くのでっち上げだったんだから