TIME is MONEY
第1章 scene Ⅰ
「今日は何?」
「うん、風間のばあちゃんの付き添い」
拐われてから3週間
何故か俺は雅紀と一緒に「何でも屋」の仕事をしていた
二人なら、当たり前に仕事だからと外出してるのに
俺1人では絶対に外に出る事は許されない事を除いては
不本意ではあるけど、はっきり言って気楽だった
結局あのまま一度だけ
翔の付き添いの元、アパートに戻れたけど
必要最小限の荷物を持たされて、すぐにここに連れ戻された
足りないものは、翔が買ってくる
だけど翔は、ここには住んでなくて
俺と、雅紀の二人で生活している
順応性が高いといえば聞こえは良いけど
実のところ、家事の全てを雅紀がやってくれる事に満足して
適当に仕事を手伝って、その賃金をきちんと貰えると言う美味しいポジションを、放棄する気にもならなくなった
ただ、最初に言ってた “追われてる“ のはあながち嘘でもないようで
仕事中に逃げる羽目になる事が時々あった
だけどはっきりした内容は雅紀は教えてくれなくて
…いや、分かってんのかも怪しいな
だって本当こいつ、抜けてんだもん