TIME is MONEY
第5章 scene Ⅴ
「あ…っ、ひぁ…、あぁっ」
俺がねだる前に、雅紀の方から待ち望んだ刺激をくれた
項へのキスだけで疼いていた胸の先に、指先を当ててくるくると転がしている
「ここ、触って欲しかったんだよね」
「ん…っ、あ、あ、…っ」
きつくそこを摘まむ事もせず、ひたすら優しく捏ねる指
あくまでこいつは “恋人ごっこ“ を貫くつもりだ
ひたすら優しく、俺を追い詰める気なんだ
足りない
こんなんじゃ、慣らされた体は物足りない
「はぁ…っ、ああ!…あ、あ…」
無意識に背を逸らして、雅紀の指にそこを押し付ける
だけどそれに気付いた雅紀は指を離してしまって
「ダメ、…今日は優しくしかしない」
……そんな言葉、嬉しくも何ともない
戯れに始まった 一方的な “恋人ごっこ“ に早くも限界を感じてしまう
疼く体もそうだけど
嘘とは言え囁かれ続ける “愛してる“ も
優し過ぎる愛撫も
これ以上されてしまったら
気付いてはいけない何かが揺り起こされそうで、怖くなってしまった
「まさ、き…っ」
「…ん?」
「も…止めろよ…っ」
「何を?」
分かってるくせに
だって声が笑ってるじゃないか