TIME is MONEY
第1章 scene Ⅰ
ばあちゃんから預かった保険証を、病院に行くのに車に置き忘れたり
プール掃除の代行入ったら滑って転んだり
挙げ句はお金を貰い損ねたり
…それこそ、今まで良く無事で来れたなと不思議に思うレベルだった
俺の方がよっぽど出来てるじゃねぇか、と思う事が多くて
今じゃ、俺が仕切って雅紀が動くのが当たり前になっている
だけどたまに見せる、雅紀の鋭い目と
怖いくらいの反射神経には
なかなか慣れる事は出来ないでいた
特に仕事でもなく外に出ていると、雅紀はほんの小さな違和感も逃がさなくて
普通に歩いてりゃ、まず気付かない危険を素早く察知するんだ
さすがにドラマじゃないから、街中でいきなり銃を向けられるとかそんなのはないけど
多分雅紀が一緒じゃなかったら、俺は骨折くらいはしてたかも知れない
いやだから
俺、充分危ない目に合ってるんじゃね?
さりげなく雅紀に守られて、感覚が鈍くなってるんだろうか
だけどやっぱり神経を尖らせてるからか
雅紀はアパートに入ると気が抜けるのか、ボケボケになるから
少しくらい?バカでも “まぁ、いっか“ と思うようになって
つまりはこいつらの思い通りになっていたんだ