TIME is MONEY
第7章 scene Ⅶ
ずっと、セフレと言いながら越える事のなかった一線
それを越えた事
やたら “恋人みたい“ なシチュエーションにこだわった事
雅紀の、独り言のような最後の呟き
そして、…今
繋がるようで繋がらない点と線
「俺さ、かずの事知ってた」
「な…っ」
雅紀からの信じられない言葉に、目を見開いた
どういう事?
知ってたって、何を?
「初めて会った時、覚えてる?」
忘れる訳がない
あんなこと、普通じゃ起こらない出来事だし
そのせいで俺の生活が変わったんだから
「あの時さ、追われてたのはホントなんだけど、それまでにも1人で歩いてた人はいたんだ」
雅紀の話す続きを聞くのが怖い
だけどもう、逃げる事はできない
「かずがそこを歩いてたのは確かに偶然なんだけど、絶好のチャンスだと思った」
…嫌だ
やっぱり聞きたくない
「俺の素性、分かったんでしょ?…翔ちゃんの事も」
「雅、紀……」
雅紀の顔から笑みが消えた
「じーちゃんの会社を潰した、二宮不動産の息子……二宮和也。
潰す時、かなり活躍したらしいね?かず」
ー…雅紀のじいさんの会社?
何の事だ、…いや、いつの話だ