TIME is MONEY
第7章 scene Ⅶ
何も入れ替えをしなかった、あのパスワード
確かにあれ?とは思ったけど
正直なところ、そこまでは気にしなかった
…どうせ雅紀の事だし、と見くびってた
あの時に警戒したら少しは変わってたのかもしれないけど、それはもう言っても仕方ない
だって本当に、雅紀がそこまでとは考えもしてなかったし
「ふふ、さすがにかずもそこは見抜けなかったみたいだね」
楽しそうに言われるとちょっと悔しいじゃねぇか
「でも俺はパスワードの解読までは出来ないから、かずには敵わない」
ここで翔がピクッとしたのが分かった
…嘘だろ、こいつの出来ないっての
そう言う処は見逃さないぞ
「……で、お前と翔の関係は、パソコンの中からの情報からだから確信はしてるけど、絶対じゃない
…だから、それは知りたい」
だけど今、そこを突っ込むのは止めて話を進めた
脱線してる場合じゃない
「かずの予想、教えて?
多分合ってるとは思うけど」
「翔が雅紀の作ろうとしてる会社の出資元の跡取り。…雅紀が興す予定の会社は
今、分かったけど…じいさんの会社、だろ」
雅紀の口角が引き上がる
まるで “正解“ だと言わんばかりに目を細めた