TIME is MONEY
第1章 scene Ⅰ
「いってぇ…っ」
「大丈夫?かず」
顔をしかめる俺を心配そうに見つめる雅紀
「誰のせいだよ!」
打ったとこを抑えながら、涙目で睨み付けた
「ええ、俺ぇっ?」
お前以外に誰がいるんだっつーの
「いきなり顔なんか近付けんじゃねぇよ!」
「だって、様子がおかしかったから」
熱でもあるの?と額に手を乗せた雅紀
突然触れられた事に、思わず肩が揺れてしまう
「熱なんかないから」
何だか触られてるのが落ち着かなくて、その手を振り払った
「そう?…ならいいけど」
一瞬傷付いたような目をした気がしたけど、気のせいかな
けどそれを確かめる術もないから、ほっとくしかないんだけどさ
「かず、何か考え事?」
いつの間にか、“二宮くん“ から “かず“ に変わっていた
それこそ「考え事」なんか考え出したらキリがない
だってそうだろ
今、こうしてる事がもう普通じゃないんだから
「お前に言っても無駄だからいい」
「何それ」
「じゃあ聞くけど、…ここの生活費ってどうなってんの?」
雅紀が困ったように眉を下げた
「…ごめん、それは言えない」
ほらね、俺は何も知らされないままなんだ