TIME is MONEY
第1章 scene Ⅰ
「それにさ、最初の “追われてる“ っつーのも良く分かんねーし、俺はお前の名前以外何も知らねぇんだよ」
ー…おかしいだろ?そんなの
そこにのうのうと納まってる俺も相当クレイジーだとは自覚してるけどさ
「ごめん、俺からは何も言えない」
「なら、翔に聞きゃあ教えてくれんのかよ」
何だか今日は、雅紀に突っかかりたい気分だった
何にムシャクシャしてるのか分からないけど
へらへらしてる雅紀に無性に腹が立った
「翔、呼べよ」
「今は出来ない」
「何でだよ、俺が用があるっつってんの」
雅紀は首を縦には振らない
その代わりに、じっと俺を見つめている
「雅紀」
「ごめん、無理だって」
その一言にカァッと頭に血が昇った
気が付いたら雅紀に飛び掛かってて、馬乗りになって胸ぐらを掴んでいた
だけど俺は、人を殴った事はなくて
むしろ、そんな状況にならないようにと、のらくらと交わしてきてた奴で
冷静になってしまった今、この状況をどうしようかと悩む羽目に陥ってしまった
このまま引き下がるのは悔しい
でも、殴れない
…参ったな
完全にこの後がノープラン