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TIME is MONEY

第8章 scene Ⅷ


「俺、誰かの “下“ で働くのは嫌なんだけど」

もう、遣われる立場なんかまっぴらだ

今までこいつと一緒にやってたのは、対等っつーか若干なりとも自分が優位にいられたから

「そう言うと思ったよ」
雅紀が笑う

…なんだ、そこもお見通しって訳か


「ごめん、翔ちゃん説明変わって」
いきなり雅紀が翔を振り返った

“どうも上手く言えない“ そう言って苦笑している

「いや別に難しくも何ともないと思うけど」
翔が呆れたように笑った

「どうでもいいから早く話せ」

さっさと本題に戻れ
その意味を込めて、軽く翔を睨んだら

「焦んなって。悪い話じゃないからさ」
逆に俺が嗜められた



「にのはさ、頭が良いから分かると思うけど
会社の裏と表、どっちがいい?」

「裏と表?」

「そう。意味、分かる?」

俺の考えた事が合ってるかは分からない
ただ、親の会社を見て得た事としてなら…


「公に出る表向きの代表と、全てを取り仕切る裏の実権者。…違う?」

人当たりの良い人物が、世間に顔を晒して自分を会社の代表取締役として動かしているように見せる “表“ と

実際は顔はおろか素性も出さずに真の実権を握る“裏“ の人物


「うん、それ。かずは話が早くて助かる」

「これくらいは常識だろ」

俺がそっけなく答えたら、雅紀がピクリと反応した

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