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TIME is MONEY

第1章 scene Ⅰ


スパーン!!と清々しい位の小気味良い音が響き渡る

それと同時にガクンと前にのめる雅紀が

「ちょっと!…何すんのいきなり!!」
頭を抑えて振り返るけど

そんなのは知ったことじゃない


「てめぇの脳みそに聞けっ」

悪いのはお前だ
いきなり変な事しやがって



「ちゃんと “ごちそうさま“ って言ったじゃん!」

「アホか!そうじゃねぇだろうがっ」

「じゃあ、あのキスじゃ足りなかったの?」


「…お前、いっぺん死んでこい」

「やだよ!死んだら生き返れないでしょっ」



何だこのやり取り
俺はガキを相手にしてんのか?


頭を抑えて涙目で俺を見上げる雅紀を見てたら

何だかあまりのバカらしさに、これ以上怒鳴る気力も失せてしまった

それどころか
馬鹿馬鹿しすぎて、おかしくなりそうだ



「もういい」

そのまま身を翻して玄関に向かい、ドアノブに手を掛けた処で

「それはダメ」

いつの間にか真後ろにいた雅紀に腕を掴まれてしまった


「離せ」

「ダメ」
雅紀がドアの前に立ち塞がる

「うるさい、どけよ」

「それだけはダメ」
腕を掴まれたまま、俺はまた中に引き摺り込まれた

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