TIME is MONEY
第1章 scene Ⅰ
俺のあがきなんてモノともせず、ずるずると引き摺られるように連れ戻される
「いてぇよ!離せよバカっ!」
力任せに掴まれた腕に雅紀の指が食い込んで、はっきり言ってかなり痛い
繊細な俺の腕が折れたらどうしてくれる!
無理矢理に戻された部屋の中
両肩をぐっと押されて、強引に椅子に座らせられた
「帰せないって言ってるでしょ」
立ち上がろうにも、抑えている力が強くて動けない
「そんなん知らねぇよ!」
今日の俺は、“適当に流されて楽しよう“ って思ってたのが嘘みたいだった
適当に手伝って、家事全般やって貰ってるうえに、金まで貰ってラッキー♪…なんて感じてたのは何だったのか
答えは簡単だ
結局のところ、「本当の意味での自由」がないから
ぼーっとする事も、昼寝をする事も
…出来たところで常にコイツがいる
今までだって、確かに出ようと思えば
縛られてる訳じゃないから出来たのに、何故それをしなかったのか
それはやっぱり
非日常過ぎる “最初“ があったから
謂わば洗脳みたいなもんなんだと思う