TIME is MONEY
第1章 scene Ⅰ
「え、ちょっ…っ、何だよ!降ろせバカ!!」
軽々とまるで鞄でも持つかのように抱えられる俺
ジタバタ足を暴れさせてもびくりともしなくて
…それどころか、“足、煩い“ なんて言われて片手でホールドされてしまって
「離せ……っ」
言いたい言葉も、罵りたい言葉も
頭にはこれでもかって位浮かんでるけど
喉がカラカラに乾いてそれを声に出す事が出来ない
俺が何をしたって言うんだよ
普通に生まれて普通に育って、適当に生きて
誰にも迷惑なんて掛けた人生送ってないのに
暴れる事も出来ず、当然のようにと言うか
いつも俺が寝てるベッドの上に抑えつけるように降ろされた
雅紀はその下に布団を敷いて寝ているから、それは畳まれていて隅っこに寄せられてる
結構勢い良く降ろされたけど、スプリングが利いてるから痛くはない
…って、だからそんな事はどうでもよくて
「ま……まさ、き?」
しっかりと肩を抑えてる雅紀を見上げると
「おとなしく、してな」
ニヤリ、と口角を引き上げた雅紀と目が合って
「マジで……やめて……っ」
あまりの事態に、不覚にも涙が滲んでしてしまった