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TIME is MONEY

第2章 scene Ⅱ


ちら、とテレビの方を見れば
雅紀が必死に壁に向かって謝ってる姿


…何で人間って、電話でも頭下げるんだろうなぁ


なんてちょっと思って見つめていたら


ふいにこちらを振り向いた雅紀と目が合って
思わずフイッと顔を背けた



表面上はああなる前と変わってない

だけど
あまり目を合わせる事は少なくなった


そりゃそうだ
許した訳じゃないし、雅紀だって謝った訳じゃない


まるで “なかった事“ にされてるのが現状



自分から “何で襲ったの“ なんて聞ける筈がない

…だって当たり前じゃないか
そんな事誰が聞けるんだよ


ここに残ってしまった以上、このままなかった事にした方がお互いの為に良いんだ


あれは雅紀の気の迷い
俺が唾を引っ掛けたりしたから、あいつが逆上しただけだ


可愛いとか何とかほざかれた事は忘れるに限る




「うん、ごめん…あ、ちょっと待って」

通話を終えたと思った雅紀が立ち上がり、俺の方に歩いてきた

なんだ?と思ったら

「翔ちゃんが代わってって」
スマホを俺に差し出して、手渡す雅紀

また文句言われんのか?

「もしもし…」

仕方なく、それを受け取って話し始めた



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