
TIME is MONEY
第2章 scene Ⅱ
目の端で、雅紀がニヤリとしたのに気付いた
「あれぇ?…どしたの?」
“…もしかして、アノ事…思い出した?“
わざと耳許で囁くように話すとか、本当ムカつく
「…ふざけんな、離れろ」
冷静を装いながら、低い声で返すけど
雅紀にはそんなの効くわけなくて
「だって、気持ち良かったでしょ?」
「うるせぇっ!!」
揶揄うように言われて、カッとなった俺は
振り返り様に雅紀の頬に平手打ちをかました
「いってぇな!たかが冗談じゃねえか!」
雅紀が頬を押さえて喚く
「てめぇが言うとそうは聞こえねぇんだよっ」
いくらバカでもそのくらい分かるだろ!
「なら…冗談じゃなくしてやろうか?」
急に雅紀の声のトーンが変わる
その声に、背中がぞくりと粟立った
「ふざ…けんな…」
体が震えるのを隠す
「…なーんてね、…しないから安心しなよ」
だけど雅紀は、パッと俺から距離を取って
おどけたように笑ってみせた
そして
「あーもぅ、かず本当容赦ないから痛ぇっ
…あ、ケーキ予約入れといてね」
わざとらしく打たれた頬を押さえながら、元のテレビの前に戻っていってしまった
