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TIME is MONEY

第2章 scene Ⅱ


なんなんだよ!

…やっぱり逃げときゃ良かったのかも知れないと
今さらながら思う

だって
あの一瞬の目は、冗談じゃ済まさない雰囲気だった


雅紀の中の何かが、ストップを掛けただけに過ぎない事くらい
これだけ一緒にいたらさすがに分かる


でもそれを蒸し返す程俺だってバカじゃない

離れたのを良い事に、画面の中の甘ったるそうなロールケーキの予約をさくさく進めていった


「おい!」

「なぁにー?」

「予約はお前の名前と電話でするからな」

「あ、ごめん。偽名にして」

「は?」

またか
…また俺の分からない “何か“ が見えてくる

でももう、それを追求する気力も今はないから

「あそ、じゃあ山田太郎な」

「ふはっ、…いいよ任せる」

雅紀が吹き出した
…だっせぇネーミングなのに、いいんだ

ま、いっか
取りに行くのは俺じゃない

言った通り “山田太郎“ で予約をして
電話番号は普段使用しない、何のためにあるか分からない携帯の番号を教えられた


…なんかさ
やっぱりこいつら自体がヤバいんじゃねぇの?


そんな不安が少しずつ、俺の中に蓄積していくのを
朧気ながら感じていた

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