TIME is MONEY
第2章 scene Ⅱ
そんな翔の様子なんて知る訳もなく、話しやすい大野さんと喋っていたら
「ただいまーっ」
バカみたいな大きな声で雅紀が戻ってきた
そこからは
はっきり言ってアホらしくなるくらいに盛り上がった
酒が入っていたのもあるけど
おもちゃの王冠を被った翔がいたり、タネ丸出しの手品をしたり
俺もかなり久しぶりにバカ笑いをしてたのは覚えてる
「にの、こっち来いよ」
かなり良い感じに出来上がってる翔に呼ばれた
「なぁにー?」
何が楽しいんだか分からないけど、覚束無い足で立ち上がった時
雅紀に腕を掴まれた
「なぁんだよー?」
「行かない方がいいと思うけど」
雅紀の一言
だけど何でなのか分からないし、考える思考もまともに持ち合わせてなくて
「お前よりはマシじゃね?」
なんて言って、雅紀の腕を引き剥がした
「…知らないからな」
雅紀が、まるで素面のような真顔で呟いたけど
そんな事に気付くはずもなく、手招きされるままに俺は翔の前に向かった
それが合図のように、大野さんと松本さんも立ち上がる
そして、翔の隣に座った俺を囲むように二人とも腰を降ろした
「あーあ……」
雅紀が、ひとつ溜め息をついた