TIME is MONEY
第3章 scene Ⅲ
「あ…ってめぇ…!!」
生田との距離が少しあったのを良い事に
雅紀が再びダッシュを掛けた
今度は俺も必死に合わせて走り出した
雅紀の勢いで、周りにいた人間が思わず避ける
…生田、とか言う奴の仲間って訳ではなさそうだった
「雅紀!」
大通りに出たら
これまた絶妙なタイミングで翔がいる
いつかのデジャブのように、俺達はその車に急いで乗り込んだ
窓の外には走ってくる生田と
……あれ、あの顔見たことある
「ちょっと!あれって」
俺の示す方向を見た雅紀が
「あ、やっぱり潤だ」
驚く訳でもなく、さらっと言って退けた
二人の姿が小さくなっていく
本当こいつらは分からない
だって “潤“ は友達なんだろ?
何で雅紀を捕まえようとした、生田ってのと一緒にいるんだよ
「にの、何その顔」
ルームミラー越しに、運転席にいる翔が笑った
隣を見れば雅紀もニヤニヤしている
「んだよ!だって意味分かんねぇだろ!
…何なの?今のって最初に言ってたヤバい人絡みな訳?」
当然っちゃ、当然なんだけど
俺だけ何も分かってないこの状況がイライラしていた