TIME is MONEY
第1章 scene Ⅰ
「二宮くん、仕事は?」
「…フリーター」
「その仕事、大事?」
…別に好きで仕事してる訳じゃない
生きてくのに、金が必要だから
それだけの為の、手段でしかない
「別に。…生きんのに金がいるから働いてるだけ」
「家族は?」
何でそんな事聞くんだよ
「音信不通」
面倒くさいからそう答えといた
あながち嘘でもないし
「じゃあ、君がいなくなって困る人はいないんだね」
「は?」
「いや、やっぱさ。帰せないのは帰せないけど…捜索願とか、出されると厄介だから」
…だったら “過保護な両親に溺愛されてます“ とでも言っとくべきだった
墓穴掘ってんじゃん、俺
「勿論ただでとは言わないよ?」
“翔“ がニヤリと笑う
「お金、好きでしょ?」
「当たり前だろ」
世の中、金さえあればどうとでもなる
「だよねぇ…、だからさ」
ー…協力してくれたら、これだけ出すよ?
“翔“ の提示した電卓の数字
…桁間違えてない?
「マジで?」
思わず唾を飲む
「勿論」
分かった…、と思わず頷くとこでまたまた思いとどまった