TIME is MONEY
第4章 scene Ⅳ
「あ?誰に口聞いてるのかなぁ?にのちゃん」
グイグイ締められる首は地味に苦しくて
腕を剥がそうともがくけど、翔の力は何気に強い
そう言えば最近鍛え始めたとか雅紀が言ってたっけ
「苦しい!離せっ…後、にのちゃんって呼ぶんじゃねぇ!」
「にーのーちゃん♪」
俺がムキになれば余計に調子に乗るこいつは、ホント性格悪い
「何なんだよ、俺に何の用があるっつーんだよ!」
仕事の話はいつもメールか電話だ
翔がここに来る事は滅多にない
そうじゃなくても、雅紀が言ってた通り
こいつは今、大野といちゃこらするのに忙しいはず
それをわざわざここに来ると言うのは何かがあった時
「お前に用があるんだよ」
向こうにいる雅紀から見たらふざけてるように見えると思う
だけど
何故か翔の声は真剣味を帯びていて
決してふざけに来た訳じゃない事を悟った
「…なんだよ」
自然と俺の声も低くなる
翔の様子からして、多分雅紀には知られないようにしたいのが伝わってくるから
コーヒーを淹れるフリをして、シンクの前に立って
その横に翔が並んだ