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MITO

第4章 初勤務

 建物があって、扉があって、中に入ると外って、どういうこと?


 水戸さんは数歩進んで後ろを見た。


『び~ん゚ぼ^っち゚ゃま゙(はりぼて)』


 運転手は言った。


「奥様はかなりの節約家でございます。私、執事の氷辻明道(ひつじめいどう)と申します」


 水戸さんは思った。


(極端すぎる。節約家なら、執事や私なんて雇わず、あんな大きな車に乗ったり、大きな庭を作ったりしないよね)


 すると、そのテントの中から、デヴィ夫人に6発蹴り入れたようなクソババァが出てきた。


 髪は長く白と茶色がまじり、ボサボサで、かなり傷んでいるように見える。


 体にはなにか、動物の毛皮のようなものを全身にまとっていた。


「ウンガダバガダ、ボンガボンガワダガンボダ」


「奥様は、ようこそいらしてくださいました。今日1日だけですが、よろしくお願いいたします……とおっしゃっております」


『ま゚』


「え、なんとおっしゃいました?」


 あれがわかって、なぜ、これがわからないのか?


 そもそも、さっき、日本語で話していたような……。



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