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MITO

第4章 初勤務

 少し薄暗くなり、山道に異様な空気が流れ出した。


 やがて道は途切れ、道の無い木々の間をさ迷いはじめた。


『ぴぃーーっ、ぴぃーーっ』


『っ!?~』


 鹿の鳴き声。


 実際に聞いたことは無かったが、水戸さんは、本能的に、これが鹿の鳴き声だとわかった。


 さっそく、声がした方向に向かった。


 やがて、どこからか、奇妙な音が聞こえてくる。


『クッチャクッチャクッチャクッチャ……ガフゥ……』


『も゙え゚(なにあれ?)』


 水戸さんは、ゆっくりと音のする方に近付いた。


 鹿だと、トドメをさし、首もとを切りつけ、血抜きをしなければならない。


(こんなの、家政婦のマニュアルにあったかしら?)


 まず、ない。鹿にトドメをさすなんて、誰が教えるだろうか?


 徐々に、その音に近付いてくるのがわかる。


『!』


 見付けた。


 だが……水戸さんは、すぐにいけなかった。


 横たわった鹿のそばに、何者かがしゃがんでいるのが見えた。


(何者?)


 そう思いながら、ゆっくりと近付く。


 白いサマーセーターに、ピンクのスカート。どうやら、女性のようだ。



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