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華は儚く美しく

第1章 戦乱に散る桜

「見つけた」

 現れたのは愛しき人。桜の想い人である光秀。

「どうして!どうしてなの?」

 桜は涙を流し感情的に叫ぶ。

「私の天下を見たくないか? 桜」

「見たくないです! 光秀様、いつから桜と呼ぶように? 話し方も」

 変わってしまった光秀。昔とは違う二人。

「桜だってそうじゃないか。いつから私を様付けで呼ぶように?」

「それは……」

 桜は口ごもった。

 呼び名を変えた理由。桜と光秀の間には、地位の差ができていた。そのことにお互い無意識に気づいていたから。

「そうか。桜、もう一度聞く。私の天下は見たくないか?」

 光秀は桜の黒目を捕らえて放さない。

「見たくないです。我が見たいのは信長様の天下だけです」

「そうか。なら戦うしかないな。いくぞっ!」

 桜はその場から動けなかった。刀を振り上げることも。

「どうした桜?」

 今まで黙っていた信長が口を開く。

「できません。我には光秀様を斬るなんて」

 桜は刀を落とす。

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