テキストサイズ

華は儚く美しく

第1章 戦乱に散る桜

「桜……」

 その時に信長は気づく。桜が光秀に想いを寄せていることに。

 光秀はそんなことに気づかずに桜に斬りかかる。

「うっ……うわぁぁぁぁ!」

 瞬間、辺りに漂う鉄のにおい。どさりと倒れる信長。その横で桜は悲鳴をあげる。

「桜……お前は可愛い娘のようだった」

 信長はそう言い残すと意識を手放した。

「のぶ……信長様ぁぁ!」

 父親のように可愛がってくれた信長。守れなかった自分。桜の心には言いようのないような気持ちが渦巻く。

「どうして? 光秀様」

「すまなかったな桜」

「光秀様、小さな心に鈴を拾ってくれて、よく遊んでくれました。いつの間にか好きになっていました。大切な信長様を殺められたのに、その気持ちは変わらないんです。おかしいですね」

 桜は地面に座り込んだ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ